歯周病は歯ぐきだけが腫れた状態の歯肉炎(しにくえん)と歯と歯ぐきをつないでいる部分が壊されたり、歯を支えているあごの骨が壊されている状態の歯周炎(ししゅうえん)に分類されます。
歯周病は、G・P1・P2・P3・P4といった段階で表され、数字が大きくなるほど歯周病の進行が重度であると示しています。
*Gとは英語のジンジバティス(gingivitis)の略で歯肉炎の事Pとはペリオドンタイティス(periodontitis)です 。
G
炎症が歯ぐきの範囲内でおさまっている状態です。歯ぐきが腫れて時々歯磨きの時痛みを感じたり出血で気付くこともあります。歯科医院で歯の清掃と歯磨き指導を受け、きっちり磨く癖を身につければ、比較的早くに治せます。
P1
炎症が歯ぐきだけでなく歯槽骨(=歯を支えているあごの骨)にまでおよんだ状態です。歯と歯ぐきの間の溝が3mm程度になって病的な歯周ポケットができています。
*健康な歯ぐきでは1~2mm程度です。
通常あまり症状はありませんが、歯肉炎と同様に歯磨きの時の痛みや出血で気付きます。幸い骨のダメージ(炎症によって骨の溶ける量)はまだ浅く、比較的短期間の通院と正しい歯磨き習慣を身に付けることでそれ以上の進行を防ぐことが出来ます。
P2
炎症によって溶かされた骨の量が更に多くなり、歯と歯ぐきの間の溝もP1より深くなっている状態です。歯が左右に少し揺れる、歯ぐきからの出血や口臭といった症状で気付きます。ここで歯周病の治療を行い、いかに病状を食い止めるかがカギになってきます。
P3
歯と歯ぐきの溝が6mm以上になって歯の揺れも大きくなり硬いものを噛む時に痛みや不安を感じます。また出血や口臭もきつくなってきます。ここまでくると治療期間もかなり長期になりますし、歯を残せない…つまり抜歯といった事もおこります。
P4
歯を支えている骨がほとんど無く、歯ぐきの皮1枚でつなっがているような状態です。そのため歯は前後左右更に上下にも動いてしまうような状況で痛くて噛むことが出来ないといった症状がでます。歯を治療して抜かずに残す、ということは不可能です。残念ですが、出来るだけ早期に歯を抜いて入れ歯やその他の方法で噛めるようにするしか有りません。でも、歯は一本でも多く残しておいた方が良いわけですから、諦めないで出来るだけ早期に治療を開始して下さい。
1. プラークコントロール
歯周病予防・治療の基本となるのがプラークコントロールです。
プラークコントロールとは歯垢(=プラーク)の量を減らす事です。プラークコントロール=歯磨きと誤解していらっしゃる方も多いのですが、歯磨きだけではなく歯科医院での歯のクリーニングや、虫歯の治療や詰め物の修正で歯の表面のデコボコを治す事、生活習慣(特に食習慣)の改善も含まれます。
2. スケーリング・ルートプレイニング
歯垢は時間が経つと歯磨きでは除去できない歯石になってしまします。歯石は歯周病菌の温床の場になります。
歯磨きでは取り除けない歯石や歯垢を歯科医師・歯科衛生士が器具を使って除去し、再び付着しづらくする治療をスケーリングやルートプレイニングと言います。
歯石・歯垢の除去する事で炎症が治まっていき歯周ポケットの深さも浅くなりますので歯周病の進行を抑え症状の改善が期待できます。
3. 詰め物や被せ物の修正
詰め物や被せ物の不適合があると歯との段差に歯垢が付着しやすく歯磨きで除去することが難しくなります。そのため詰め物・被せ物の適合を確認し、合っていなければ修正する治療を行い歯垢・歯石を付きにくくします。
4. 生活習慣の改善
病気、睡眠不足、ストレスを感じ、体の抵抗力が落ちている時は歯周病菌に感染しやすくまた炎症も強くなります。
十分な睡眠、ストレスの解消は歯周病の治療をしていく上でも欠かせません。また、食べ物や飲み物を長時間口に入れたままダラダラと飲食していると虫歯にもなりやすくなりますが、歯周病の進行にも影響がありますので食生活の見直しも大事になります。
治療をした後、1~3ヶ月などの一定期間が経ってから再び診察する事をリコールと言います。
リコールは症状が改善されているのか、また新しい病気にかかっていないかを確認するために必要なことです。リコールの時には病状の確認ばかりではなくブラッシングの大切さを改めて認識していただき、プラークや歯石がたまっている場合はスケーリングやルートプレーニングも行います。
また6か月ごとにレントゲン写真をとることにより歯とあごの骨の変化も確認します。
リコールを行っている人と行わない人では歯を失う立に大きな差が出てきます。